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奈良博手帖

当館研究員が日々の研究や活動についてさまざまな視点でご紹介します。
※読売新聞奈良版に連載している「奈良博手帖」を読売新聞社の諒解のもとに転載しております。
研究員の肩書きは執筆時となります。

2022.12.21 (Wed)

仏教工芸品の「用の美」 正倉院宝物「鉄三鈷」

博物館で仏具を中心とした仏教工芸品の保存・展示に携わる身として、最近感銘を受けることがあった。今年も当館で正倉院展が開催され、至宝の数々が会場を彩ったが、そのなかの「鉄三鈷」という宝物に、私は強く魅了された。その形姿が実に見事で、美しかったからだ。

2022.11.30 (Wed)

信仰の拠点で往時思う 経典が奉納された大山

奈良国立博物館の所蔵品に重要文化財「法華経(色紙)」という、巻によって異なる色の紙を使った平安時代の写経(8巻)がある。各巻の巻末には「奉施入大山権現 三院学頭 西明院々主真林房増運」のような奥書があり、この写経が伝来の過程で一時期、大山(鳥取県)にあったことが分かる。

2022.11.16 (Wed)

作り手の仕事 追体験 ラブリーな正倉院宝物

大学生の頃、アイルランドのダブリンで英語の勉強のために2週間だけホームステイをしたことがある。ホストファミリーは当時50歳代後半くらいのご夫婦だった。そのとき奥様が「ラブリー」ということばを多用していたのが印象的で記憶に残っている。

2022.11.02 (Wed)

最も「著名」な館蔵品 「聖徳太子二王子像」模本

写真に掲げたのは聖徳太子の大変有名な肖像画。この姿を見て歴史の教科書や旧1万円札の図柄を思い起こす人も少なくないだろう。しかし、本作品が当館を代表する館蔵品であると聞くと、意外に思われるに違いない。

2022.10.19 (Wed)

古神宝 今も新たな発見 若宮神社の獅子・狛犬像

この冬、当館は特別展「春日大社 若宮国宝展」を開催する。春日大社の摂社である若宮神社の御造替完了を記念する展覧会で、若宮神に捧げられた神宝や御造替に関する資料が一堂に会する。

2022.10.05 (Wed)

博物館飾る沢田石   静岡・河津の石丁場遺跡

静岡県の伊豆半島南部に位置する河津町は、2月に開花する早咲きの河津桜で全国に知られている。今年の春、京都国立博物館の現地調査に同行し、この地の石丁場(石を採取・加工した場所)遺跡に赴いた。