2023.12.13 (水)

郵送希望 途切れて不安 発行から31年の広報誌

 

 当館では『奈良国立博物館だより』という広報誌を3か月に1度発行している。1992年4月に第1号が発行されてから31年。来年1月号が128号となる。当初モノクロのB5版だったがA4一部カラーとなり、2017年1月、100号記念のささやかなモデルチェンジによりフルカラーとなった。内容は展覧会やイベントの紹介、展示品一覧が主であることは当初から現在まで変わらないが、読みものも増えた。

 

 改めて第1号を見ると、裏面一番下に郵送希望者への案内がある。切手を貼った封筒をお送りいただければご希望の号を返送しますという、少し懐かしい読者向けのサービスである。現在の博物館だよりでも同じ位置にほぼ同文が掲載され、このサービスを続けている。私は長く博物館だよりに関わる部署にいるが、封筒を送って来られる方々は非常に遠方の方が多く、また貴重そうな切手がよく貼られているという特徴があった。

 

 しかし、ご存知のように紙の読みものというのは風前のともしである。展示やイベントの情報はウェブサイトから知ることができるし、博物館だよりそのものもウェブ上に公開され1号からすべてPDFで読むことが可能だ。

 

 そうしたなかで毎号の郵送数は如実に減少している。長年にわたりまめに封筒を送ってきた方から郵送希望が途切れるとなんとも不安な気持ちになる。長い歴史をもつこの郵送サービスも、博物館だよりそのものも、ひっそりと姿を消すときが来るかもしれない。これは当事者のとりとめもない記憶の記録である。

 

(奈良国立博物館学芸部情報サービス室長 北澤菜月)

 

「奈良国立博物館だより」第1号(1992年4月発行)

 

  

[読売新聞(奈良県版・朝刊) 2023年12月6日掲載]

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