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2023.10.25 (Wed)
「春日移し」南山城各地に 密接な交流紹介 初の試み
今夏に当館で開催した特別展「聖地南山―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝」は、京都府最南部に位置する南山城地域の仏教文化を、隣接する奈良との密接な交流に視点を据えながら紹介する初めての試みとなった。京都府木津川市在住の南山城住民である私は、その縁もあって、企画が立ち上がった当初から本展覧会に深く関わることになった。
当館研究員が日々の研究や活動についてさまざまな視点でご紹介します。
※読売新聞奈良版に連載している「奈良博手帖」を読売新聞社の諒解のもとに転載しております。
研究員の肩書きは執筆時となります。
2023.10.25 (Wed)
今夏に当館で開催した特別展「聖地南山―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝」は、京都府最南部に位置する南山城地域の仏教文化を、隣接する奈良との密接な交流に視点を据えながら紹介する初めての試みとなった。京都府木津川市在住の南山城住民である私は、その縁もあって、企画が立ち上がった当初から本展覧会に深く関わることになった。
2023.10.04 (Wed)
今月3日、奈良国立博物館の特別展「聖地 南山城―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝―」が閉幕した。京都府の最南部、奈良市に隣接する南山城地域に花開いた仏教文化を紹介したこの企画は、当館の夏期特別展としては大健闘の6万人近いご来館があり、南山城の魅力を多くの皆様に体感していただくことができた。
2023.09.20 (Wed)
文化財調査の手法の一つにX線CT調査があります。CTは非破壊で内部の様子を知ることが可能で、奈良博の仏像調査でも構造の解明や納入品の発見など多くの成果を挙げています。さらに、虫食いの度合いや修理履歴など保存状態の把握や、解体修理前に立体的な知見が得られることから、修理を行ううえでの一つの足掛かりにもなっています。
2023.09.06 (Wed)
京都府南東部に位置する笠置山。その頂上には、巨大な弥勒(みろく)摩崖仏をご本尊とする笠置寺があります。奈良の人にとっては、弥勒の住む天界へつながる龍穴があるという、東大寺・お水取りの始まりの地としても知られているでしょう。今春、展覧会の事前調査のために、笠置寺に伺(うかが)いました。拝見したのは境内で出土した、お経を納める金属の筒や陶器の壺(つぼ)。平安時代の後半に盛んに築かれた「経塚」に埋納されていたものです。
2023.08.02 (Wed)
奈良国立博物館で開催中の「聖地 南山城」展で鑑賞できる「酬恩庵庭園真景図巻」(原在明作、京都・酬恩庵蔵)の作品解説には、「あたかも写真を見るかのようにリアルに描き出している」と書いてある。昔はリアルを写すために、観察の経験や芸術的手腕などが必要だった。記憶が苦手で芸術的手腕もない私には、写真の存在がありがたい。ここに掲載した東大寺大仏殿の出口近くの土産物売り場の写真は、私と奈良とのご縁が20年近く前にさかのぼることを伝えている。
2023.07.19 (Wed)
お寺を訪ねていると、一切いっさい経蔵(きょうぞう)という建物を目にすることはないだろうか。一切経とは、仏の教えを記した「経」、僧尼の守るべき規則「律(りつ)」、教えを解釈・議論した「論(ろん)」からなる書物の総称で、仏教の文献の一式である。どのくらいのボリュームかというと、中国の唐代に編纂へんさんされた『開元釈教録(かいげんしゃっきょうろく)』(730年成立)という目録では、一つの基準として1076部・5048巻とされている。