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2024.06.05 (Wed)
感覚に訴える展示 「空海 KŪKAI ―密教のルーツとマンダラ世界」
現在、奈良国立博物館では空海(774~835年)の生誕1250年を記念する特別展を開催している。空海は日本史の教科書に必ず登場する、誰もが知っている偉人であり、今までも日本全国で空海を取り上げた展覧会が数多く開催されてきた。しかし、そもそも空海が生涯をかけて伝え、日本の文化に大きな影響を及ぼした密教とは何だったのか。この点について、展覧会などで説明される機会はあまりなかったのではないか。
当館研究員が日々の研究や活動についてさまざまな視点でご紹介します。
※読売新聞奈良版に連載している「奈良博手帖」を読売新聞社の諒解のもとに転載しております。
研究員の肩書きは執筆時となります。
2024.06.05 (Wed)
現在、奈良国立博物館では空海(774~835年)の生誕1250年を記念する特別展を開催している。空海は日本史の教科書に必ず登場する、誰もが知っている偉人であり、今までも日本全国で空海を取り上げた展覧会が数多く開催されてきた。しかし、そもそも空海が生涯をかけて伝え、日本の文化に大きな影響を及ぼした密教とは何だったのか。この点について、展覧会などで説明される機会はあまりなかったのではないか。
2024.04.25 (Thu)
私は、縁あって奈良国立博物館の仏教美術資料研究センターで司書として勤務している。これまで大学図書館で働いていたので、博物館の中にある図書館ならではもしくは当館ならではかもしれない違いを感じることがある。その一つは、書き込みを積極的には消さないという点だ。大正12年~昭和13年(1923~38年)刊行の文部省によって編集された「日本国宝全集」(日本国宝全集刊行会)全84巻は、高さ約43センチ、幅31センチの大型資料である。
2024.04.10 (Wed)
今の時期にコデマリやマーガレットなどの白い花をよく見ると、褐色や黄色、白色のまだら模様をした小さい昆虫が、花粉や花蜜を食べているのが目に入ります。その昆虫はヒメマルカツオブシムシといいます。成虫は非常に小さく、花粉や花蜜を一生懸命に食べている姿は愛くるしいですが、実は文化財を加害する昆虫の一種なのです。
2024.04.03 (Wed)
私は奈良国立博物館で中国語担当として展示パネルの翻訳や文化財関係の国際交流などの業務に携わっている。働き始めた時、連絡係の方がいるため、翻訳作業を主にしていた私は、社内・社外メールのやり取りに関わらなかった。今は経験者として仕事をスムーズに進めるために、仕事の報告や連絡は自らメールで行うようになった。その中で、一番印象に残ったのは日本人特有のビジネスメールの書き方だ。敬語を用いる文面をはじめ、自分の好みや意見、都合を押し付けるのでなく、クッションのような言葉を添えることが勉強になった。
2024.03.29 (Fri)
昨年11月下旬から1か月間、学術交流協定における在外研修のため、韓国の国立慶州博物館に滞在した。慶州は新羅の都があった地で、市内には古墳や遺跡、寺院が点在するとても魅力的な街だ。ひと月も滞在すると、韓国の人々の生活スタイルにも目が留まるようになる。中でも気になったのは、食作法だ。日本では食器を持ち、汁物は椀(わん)に口を付けて飲むが、韓国では食器を持たず、汁物はスッカラというスプーン(匙(さじ))で飲む。スプーンは我々にも馴(な)染(じ)みのある用具だが、スッカラは柄(持ち手)が長く、そしてすくう面が比較的平たい。柄が長いのは、食器を持たない食作法によるのだろう。
2024.03.19 (Tue)
来月11日で東日本大震災から13年が経ちます。一昨年の11月には津波で壊滅的な被害のあった陸前高田市立博物館(岩手県)も10メートル嵩上げした場所で活動を再開しました。元旦に起きた能登半島地震をはじめ、この13年の間に国内では大地震や大水害などがいくつもあり、東日本大震災はここ奈良でも人々の間では遠い存在になってしまったように感じます。