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2025.02.12 (Wed)
千年越え日中結ぶ縁 仲麻呂の功績 西安の碑に
昨年の夏、私は故郷である西安を訪れ、唐代の日本人留学生・阿倍仲麻呂の記念碑を訪ねた。仲麻呂は奈良時代に遣唐使として唐に渡り、中国では「朝衡(ちょうこう)」と名乗り、優れた学識と誠実な人柄で唐の朝廷から厚く信頼された人物だ。彼は帰国せず、「唐の風を慕う」として長安(現在の西安)で生涯を終えた。その生き様は、今も多くの人々の心を動かしている。
当館研究員が日々の研究や活動についてさまざまな視点でご紹介します。
※読売新聞奈良版に連載している「奈良博手帖」を読売新聞社の諒解のもとに転載しております。
研究員の肩書きは執筆時となります。
2025.02.12 (Wed)
昨年の夏、私は故郷である西安を訪れ、唐代の日本人留学生・阿倍仲麻呂の記念碑を訪ねた。仲麻呂は奈良時代に遣唐使として唐に渡り、中国では「朝衡(ちょうこう)」と名乗り、優れた学識と誠実な人柄で唐の朝廷から厚く信頼された人物だ。彼は帰国せず、「唐の風を慕う」として長安(現在の西安)で生涯を終えた。その生き様は、今も多くの人々の心を動かしている。
2025.02.04 (Tue)
2025年1月17日で阪神淡路大震災から30年経ちました。昨年元旦に起きた能登半島地震も多くの人命と共に多くの文化財を消失し、秋には大雨災害もあったため能登の復興は道半ばです。多くの方が物資や義援金で復興に寄与されましたが、「お金や物以外で何か支援をしたい」とお考えではないでしょうか? 阪神淡路大震災は“ボランティア元年”とも言われていますが、“被災地ボランティア”と聞いて多くの方々は、「活動にはお金も時間も体力がかかる」「私には特筆できる専門的な技術もない」と想像されるかもしれません。
2024.12.25 (Wed)
現在、奈良国立博物館では昨年度までに修理された当館の収蔵品を公開する特集展示「新たに修理された文化財」が開催されています。本展覧会に出陳される作品をはじめ、収蔵品の大半は当館敷地内にある文化財保存修理所で修理が行われます。修理所内には仏像を中心とした彫刻作品、絵画・書跡、漆工芸品を扱う三つの工房が入っており、伝統的な材料・技法に加えて、科学調査を活用した修理が行われています。
2024.12.11 (Wed)
学生時代、演習で「The Worlds of Reference」という洋書が課題になった。古今のレファレンスブック、すなわち辞書や事典、索引などの歴史をひもといた一冊で、私たちは輪番で各章を翻訳し、文中に登場する様々な辞書類を調べてレジュメを作成した。この授業で学術の基礎が「言葉」にあることを認識すると同時に、言葉にまつわる深淵(しんえん)な世界と気の遠くなるような編さん事業に畏敬の念を抱いたものだった。
2024.11.27 (Wed)
展覧会で用意される音声ガイド。奈良国立博物館では、その制作を筆者が所属する教育室という部署が担当している。音声ガイドには専門の業者があり、博物館がタッグを組んで音声ガイドを作り上げる。まずは音声ガイドで紹介する作品(特別展だと20件前後)と、その展覧会にフィットするナレーターを選ぶ。読み上げる原稿は業者が草案を作成し、博物館側はその内容をチェックする。各作品の図録原稿を書いた研究員一人ひとりに原稿を見てもらうが、耳で聴いてわかりやすい言葉遣いになっているか、自然な話の流れか、といった調整は教育室が担う。
2024.10.16 (Wed)
10月1日のことである。大量の鹿が、奈良国立博物館のなら仏像館入口前の池につかっている、と聞いて見に行ってみた。夏に池に入る鹿は珍しくなかったが、この時期にこんなにたくさんの鹿が池に入っているのを見たのは初めてだと思う。鹿たちはすっかり明るい色の夏毛から、暗い色の冬毛に生え替わっている。いくら朝夕涼しくなってきたとは言え、日中は30度近くになる。冬物に衣替えした鹿たちは、本当に暑くて水に浸かっているのだろう。