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奈良博手帖

当館研究員が日々の研究や活動についてさまざまな視点でご紹介します。
※読売新聞奈良版に連載している「奈良博手帖」を読売新聞社の諒解のもとに転載しております。
研究員の肩書きは執筆時となります。

2024.10.16 (Wed)

「鹿だまり」減り水浴びに 集団行動 環境で変化?

10月1日のことである。大量の鹿が、奈良国立博物館のなら仏像館入口前の池につかっている、と聞いて見に行ってみた。夏に池に入る鹿は珍しくなかったが、この時期にこんなにたくさんの鹿が池に入っているのを見たのは初めてだと思う。鹿たちはすっかり明るい色の夏毛から、暗い色の冬毛に生え替わっている。いくら朝夕涼しくなってきたとは言え、日中は30度近くになる。冬物に衣替えした鹿たちは、本当に暑くて水に浸かっているのだろう。

2024.10.09 (Wed)

伎楽復元へ 日韓を比較「楽舞ルーツ 最古の渡来芸」

日本の伝統演劇史を調べると、最古の渡来芸であり、日本の芸能に大きな影響を与えたとされる伎(ぎ)楽(がく)に関する諸情報を得ることができる。「日本書紀」によれば、612年、百済人の味摩之(みまし)が日本列島に渡ってきて、「呉(くれ)」(中国の江南地方)で学び伎楽舞を習得した」と言ったという。そこで朝廷は、味摩之を現在の奈良県の桜井に住まわせて、少年たちを集め、その舞を習わせた。

2024.10.03 (Thu)

仏像の個性 見つめて「会えるシート わくわく鑑賞」

奈良国立博物館のなら仏像館には、常時約100体の仏像が展示されている。ずらりと展示された仏像に感動する来館者がいる一方で、「仏像の違いがよくわからない……」と話しながら、足早に展示室内を1周して、すぐに出ていってしまう来館者も少なからずいる。そうした課題を受け、最近新たに制作したのが、「今日会える仏像」シートだ。

2024.09.12 (Thu)

雲版 時報の音響かせ 琉球王国時代の現存唯一

奈良国立博物館には、1458年に製作された琉球国大里城(おおざとぐすく)の雲版が寄託されています。雲版とは、禅宗寺院で時報などを知らせるために打ち鳴らす、青銅または鉄で作った雲形の板のことです。本品の寸法は幅46.6cm、高さ49.6cm、厚さ2.0cm、撞座(つきざ)は損傷していますが重さは約10kgあります。

2024.08.28 (Wed)

住友春翠 愛でた蒐集品 中国古代青銅器 図録にも

現在、奈良国立博物館で開催中の特別陳列「泉屋博古館の名宝-住友春翠の愛でた祈りの造形-」では、泉屋博古館(京都・東京)から数々の作品をお借りして展示をしています。同館は、銅山開発や精銅で知られる住友家が築いたコレクションの保管、研究、公開をおこなう美術館で、中でも住友家第15代住友吉左衞門友純(雅号:春翠、1864~1926年)の蒐集品がその中心です。 

2024.08.07 (Wed)

神へのお面 個性豊か 展覧会でワークショップ

奈良国立博物館では現在、わくわくびじゅつギャラリー「フシギ!日本の神さまのびじゅつ」が開催中です。本展は、日本の神さまの美術にまつわる様々な「フシギ」を取り上げ、その魅力に迫る展覧会であり、子どもも大人も楽しめる体験型の要素が多く盛り込まれています。その中でも特にご紹介したいのが「体験!お面をつくってポーズをとろう」です。