4月17日(日)「薬師如来像をめぐって」

薬師如来は、左手に良薬の入った壺「薬壺」を執るすがたでよく知られています。日本では平安時代に薬師信仰のブームが起き、多くの彫像が造られました。今回は平安中期(10-11世紀)の作例を中心に取り上げ、その信仰背景と魅力をご紹介します。

5月15日(日)「文化財を加害するムシの話」

自然界には多くの昆虫がおり、その中には博物館の収蔵品(文化財)を加害する昆虫もいます。害虫から文化財を守るためにはまず、相手(害虫の種類)を知る必要があります。文化財を加害する害虫の種類やその防除法についてお話しいたします。

6月19日(日)「文化財の健康診断ー X線CT調査でみる文化財ー」

2017年に大型文化財用X線CTスキャン装置を導入して以来、奈良博は数々のCT調査をおこなってきました。文化財の内部に秘められた構造・製作技法・劣化状況・修理歴など、実際のCT調査結果と共にご紹介します。

1月16日(日)「辟邪絵をめぐって」

疫病や災いを引き起こすとされた鬼とたたかう五人の善神を描く平安絵巻の傑作「国宝 辟邪絵」。奈良博を代表する名品の魅力を紹介するとともに、その勇ましい図像の典拠や、「地獄草紙」の名で伝来した信仰背景にも迫ります。

2月20日(日)「ほとけの装いにみる工芸」

仏像や仏画のほとけは、美しい衣やよろい、装身具を身につけています。これらは織物、皮革、金具といった工芸品を彫刻や絵画として再現したものです。ほとけのきらびやかなファッションの世界を、実際の工芸品と比較しながら楽しみます。

3月20日(日)「“サスティナブル”な文化財保存」

昨今よく耳にする単語“サスティナブル(持続可能)”。この概念を組み込んで行なっている文化財保存活動を保存対象となった古写真(銀板写真)の紹介と共に解説いたします。

10月3日(日)「絵はがきと仏像研究」

たった1枚の絵はがきが、仏像の知られざる歴史の一側面を明らかにすることがあります。仏像研究における絵はがきの有用性について、近年の調査成果をふまえてお話します。

11月21日(日)「奈良博の壺」

奈良博が所蔵する「壺」の色や形の良し悪し、鑑賞のポイントなど、壺を観る時のツボをご案内します。紹介作品(予定):縄文晩期の壺、奈良時代の須恵器短頸壺、平安時代の猿投灰釉壺、常滑三筋壺、渥美蓮弁文壺、古瀬戸草花文瓶

12月19日(日)「閻魔王と地獄の美術」

人はこの世を去った後、閻魔王に裁かれて次の行き先が決まる――古代インドで生まれたこの考えは、中国を経て日本に流入し、多様な造形が生まれました。その魅力と信仰について、鎌倉時代の彫像を中心にご紹介します。

9月12日(日)「あこがれの天平絵画」

奈良時代、豊かな仏教文化を体現する数々の絵画が描かれました。その多くは今日に伝わりませんが、残された作品から天平絵画の姿を探り、それらが後世に与えた影響についても考えてみたいと思います。