1月15日(日)「仏像の模刻をめぐって」

特定の彫刻を模して別の彫刻をつくることを模刻と言います。特に仏像では著名な像が模刻される例が多く知られますが、そこでは単に「かたち」を写すだけでなく、原像がもつ背景も参照されました。いくつかの事例から、仏像を模刻する意味を考えます。

3月19日(日)「ステラレネーゼ達の“断捨離”」

物を捨てられない人種「ステラレネーゼ」が多く集まる博物館。そんな博物館で行われた“断捨離”事業での苦労と、そこから見えてくる文化財保存の極意についてお話しします。

10月16日(日)「古代の戸籍と正倉院文書について」

今から1300年以上前の飛鳥・奈良時代に作られた日本の戸籍について、その制度と実態をお話しします。現存する戸籍の多くは正倉院に伝来しましたので、今回は正倉院文書の全体像にも言及しつつ、戸籍を読んでみたいと思います。

11月20日(日)「古写真と仏像研究」

たった1枚の古写真が、仏像の知られざる歴史の一側面を明らかにすることがあります。仏像研究における古写真の有用性について、近年の調査成果をふまえてお話しします。

12月18日(日)「如来像の着衣について」

奈良国立博物館が今年制作した仏像のレプリカなどを用いて、飛鳥時代から鎌倉時代までの仏像が、どのような衣(ころも)の着方をしているのかを分析し、仏像の衣文の美にせまります。

7月17日(日)「平安貴族と装飾写経」

写経は、本来経典を学んだり、功徳を積むために行うものでした。
平安時代、貴族たちは趣向を凝らし飾り立てた写経を作り出します。その背景にある信仰と文化について、ご紹介します。

8月7日(日)「仏教美術以前の日本美術」

奈良博のコレクションは仏教美術だけではありません。世界の人々を魅了する縄文土器や土偶、そして謎多き銅鐸や銅矛たちもいるのです。今回は普段あまり出番のない彼らを主役に、縄文・弥生の美術にまつわる「通」なお話をしたいと思います。

9月18日(日)「明恵上人をめぐる仏教絵画」

鎌倉時代はじめに明恵上人(みょうえしょうにん)によって創建された京都栂尾(とがのお)高山寺には、創建期にさかのぼる仏画の優品が数多く伝わります。その代表作である国宝仏眼仏母(ぶつげんぶつも)像を中心に、造形に込められた明恵の仏教信仰を読み解きます。

6月19日(日)「文化財の健康診断ー X線CT調査でみる文化財ー」

2017年に大型文化財用X線CTスキャン装置を導入して以来、奈良博は数々のCT調査をおこなってきました。文化財の内部に秘められた構造・製作技法・劣化状況・修理歴など、実際のCT調査結果と共にご紹介します。

4月17日(日)「薬師如来像をめぐって」

薬師如来は、左手に良薬の入った壺「薬壺」を執るすがたでよく知られています。日本では平安時代に薬師信仰のブームが起き、多くの彫像が造られました。今回は平安中期(10-11世紀)の作例を中心に取り上げ、その信仰背景と魅力をご紹介します。