2025.10.10 (金)
看板ワークショップ 自ら制作 展示へ理解
まるで小さな商店街のように、ずらりと並んだ色とりどりの作品たち。目に鮮やかなこれらの正体は、ワークショップ参加者が思い思いに工夫してつくった<オリジナル看板>である。
現在開催中の特別展「世界探検の旅-美と驚異の遺産-」の終盤には、20世紀の北京の看板が展示されている。店名を文字で表すのではなく、その店を象徴するモノを掲げるこれらの看板は、迫力があり、思わず目を奪われる存在である。
この展示をもとに、参加者オリジナルの看板をつくるワークショップ「看板をつくろう!」を開催している。全6回のうち5回が終了し、いよいよ最終回が9月20日に実施予定である。
参加者の作品を見ていると、様々な発見がある。例えば「花屋」の看板ひとつをとっても、花の形を紙で切ったり折ったりしたものや、紙や布で立体的に表したもの、さらには花束や花瓶に入った様子を表現したものなど、実に個性豊かである。
一見すると何を表しているのか分からないものも、作品名を見ればなるほどと分かったり、逆に首をかしげたり…。そんな多彩でユニークな作品を眺めていると、好奇心がくすぐられ、自然とワクワクしてくるのがとても楽しい。
参加者からは「看板を目立たせる工夫を考えるうちに、展示作品への理解が深まった」との声も寄せられた。自らの手で看板をつくることによって、展示への関心や理解が一層深まるならば、これほどうれしいことはない。
ぜひあなたも、奈良博の“商店街”に自身の看板を飾りに来ていただきたい。奈良博の商店街は、にぎやかに開店中である。
( 奈良国立博物館教育室アソシエイトフェロー 久米彩也加 )
[読売新聞(奈良県版・朝刊) 2025年9月17日掲載]
