2025.04.09 (水)
まもなく「超 国宝展」
氷室神社(奈良市)の桜も開花して、ワクワクした空気の漂う季節。まもなく奈良国立博物館では開館130年記念「超 国宝―祈りのかがやき」(4月16日~6月15日)が開催されます。
「超 国宝」とは一見して奈良博らしからぬタイトルですが、制度としての国宝を超えたものとして、国宝を生み出した人々の祈りに焦点を当て、その輝きの結晶として宗教美術をご紹介する企画です。
今はその準備のまっただ中。ケースの移動や仮設壁の建て込み作業が連日続き、集荷も進んできました。これまでにない規模の国宝展であるため、造作にも気合いが入っていますが、特に書いておきたいのはそのテーマです。
最初の部屋では黒い壁に囲まれて燈明のように浮かび上がる法隆寺(斑鳩町)の百済観音像を展示し、祈りとその光の永遠性を象徴しています。そこからキラ星のように展示が続き、釈迦への信仰や仏の優美な装飾世界、また神々の至宝などを紹介し、最後は真っ白な部屋に誘います。
仏教では遠い未来に弥勒仏があらわれ、理想の平和世界が訪れると伝えられてきました。最後の部屋では前期(4月19日~5月18日)に宝菩提院願徳寺(京都市)の菩薩半跏像、後期(5月20日~6月15日)では中宮寺(斑鳩町)の菩薩半跏像(伝如意輪観音)を展示して、新たな世界の夜明けを象徴する予定です。(宝菩提院願徳寺像は通期展示)遠い祈りが未来にわたって輝き続ける。そんな展示テーマも記憶にとどめ、ご観覧ください。ちなみに、今日は私の誕生日です。
( 奈良国立博物館学芸部主任研究員 三田覚之)
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[読売新聞(奈良県版・朝刊) 2025年4月2日掲載]