2024.10.03 (木)
仏像の個性 見つめて「会えるシート わくわく鑑賞」
奈良国立博物館のなら仏像館には、常時約100体の仏像が展示されている。ずらりと展示された仏像に感動する来館者がいる一方で、「仏像の違いがよくわからない……」と話しながら、足早に展示室内を1周して、すぐに出ていってしまう来館者も少なからずいる。
そうした課題を受け、最近新たに制作したのが、「今日会える仏像」シートだ。これは、なら仏像館に展示されている仏像のうち、1体の見どころをイラストで解説するシートである。全16種類で、来館者1名につき、1枚ずつ提供している。シートに掲載されている仏像を、宝探しをしているような、わくわくした気持ちで見つけてもらい、その仏像の個性を見つめてもらおうというのがねらいだ。
さらに、配布方法にも一工夫加えている。全16種のシートを、ハンドルが付いた箱状の特別な装置に入れており、そのハンドルをくるくると回すと、シートが1枚ずつランダムに出てくるというしかけになっている。来館者にハンドルを回してもらうという体験性をプラスすることで、どの仏像の解説シートが出るかな?とちょっとしたドキドキ感を味わってもらえるようにしている。
「今日会える仏像」シートは、第2、第4日曜をのぞく開館日毎日、当館地下回廊のならはく教育普及スペース「ちえひろば」にて、無料で配布している。当館に訪れる際には、ぜひ、「今日会える仏像」のシートを片手に、なら仏像館で仏像鑑賞をしてみてほしい。
(奈良国立博物館教育室研究員 翁みほり)
[読売新聞(奈良県版・朝刊) 2024年9月25日掲載]