2024.07.24 (水)
仏像 ヒーローのように 仏教美術 幅広い層に関心を
石川県立美術館(金沢市)で特別展「まるごと奈良博―奈良国立博物館 至高の仏教美術コレクション」が7月6日に開幕した。奈良博に収蔵される合計205件の名品によって日本仏教美術1400年の歴史をたどるもので、奈良博コレクションの魅力を館外で「まるごと」味わえるまたとない機会だ。
本展覧会は、準備段階から奈良国立博物館が総力をあげて協力しており、筆者も絵画作品の展示作業のため開幕直前の石川県立美術館を訪れた。
そこでまず目に飛び込んできたのは、展覧会PRのポスターをもとにした看板やバナーフラッグの数々。奈良博の仏像たちがSF映画の戦隊ヒーローのように登場する印象深いデザインは、どこか見覚えがあるという方もいるかもしれない。
それもそのはず、本展覧会は2021に奈良国立博物館で開催した特別展「奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション」のコンセプトを受け継いでおり、今回のポスターデザインも前回をさらに発展させたものとなっている。
奈良博三昧展では、それまで当館に足を運ぶ機会の少なかった幅広い層に関心をもってもらうため、「難しい」とイメージされがちな仏教美術の魅力を、イラスト入りのパネルをふんだんに使ってわかりやすく伝えることに心がけた。
まるごと奈良博展でも、奈良博三昧展でデビューした当館公式キャラクター「ざんまいず」が展示室のあちこちに登場し、初めて仏教美術に触れる石川県の子供たちを楽しく案内してくれるだろう。
(奈良国立博物館企画室長 谷口耕生)
[読売新聞(奈良県版・朝刊) 2024年7月17日掲載]