2022.04.20 (水)

5匹 愛される存在に 公式キャラデザイン

 昨年の夏に奈良国立博物館で開催した特別展「奈良博三昧」にあわせて、私がデザインした5匹のキャラクターが、奈良博の公式キャラクター「ざんまいず」としてデビューした。5匹はいずれも奈良博の所蔵品に表された動物をモデルにしている。

 

 特に思い入れのある作品は、「あおじし」のモデルになった「獅子」(鎌倉時代、13世紀)である。実は大学生のときから、私はこの「獅子」のファンである。大学が奈良博から近かったこともあり、大学の空き時間を活用しては、「獅子」を見るため、なら仏像館にしょっちゅう通っていた。

 

 個人的にお気に入りなのは、三日月が浮かんでいるような瞳のデザイン、堂々とした立ち姿でありながらも、どこか猫のような愛らしさを感じさせる顔つきである(マニアックだが、左の横顔が特に好き)。

 

 マンガやアニメにもそのまま登場しそうなフォルムと表情で、学生のときから、「この獅子をモデルにキャラクターを作ったら面白いかも」とひそかに考えていたのだが、まさかその後、奈良博で働くことになり、こうしてキャラクターを描かせてもらうことになるとは夢にも思わなかった。これもご縁だったのかな、としみじみ感じている。

  

 「ざんまいず」は、今年の夏に開催するわくわくびじゅつギャラリー「はっけん!ほとけさまのかたち」にも登場する予定だ。今後、モデルになった作品とともに、多くの人たちに愛されてほしいなと願っている。

  

(奈良国立博物館アソシエイトフェロー 翁みほり)

 

上:奈良博の公式キャラクター「ざんまいず」
下:「あおじし」のモデルとなった「獅子」(鎌倉時代、13世紀)

(読売新聞 2022年4月13日掲載)

一覧に戻る