2026.02.25 (水)

SNS 興味の入口に 文化財のデジタル公開

 奈良国立博物館のホームページに収蔵品データベースというものがあるのをご存じだろうか。

 

 当館が所蔵する様々なコレクションを、基礎情報や解説、写真付きで公開しており、多くの収蔵品をいつでも眺めることができる。現在のところ全ての収蔵品のデジタル公開が完了している訳ではないが、日々調査と写真撮影を進め、少しずつページを追加している。

 

 ところで以前、当館の収蔵品に関して国内外のインターネット上で話題になることがあった。ハート形の透かしが入ったおのの画像に対して、室町時代の日本には魔法少女がいたのだとコメントする投稿がSNSで人気を集めたのである。

 

 実はその斧とは「入峰斧」という当館の収蔵品であり、山伏が山岳に入る時に用いる道具なのであった。もちろんインターネットユーザーにはネタとして受け止められており、私も面白い見方だと印象に残った。

 

 この件で感じたのは、きっかけは何であれ、インターネットによって人々と文化財の距離が近くなったということである。そして博物館が文化財の専門的な情報をデジタル公開することは、文化財の理解に寄与するということを実感した。実際、「入峰斧」の件でも収蔵品データベースのページには国内外からアクセスがあり、基礎情報や解説が参照されていた。

 

 文化財のデジタル公開は、思わぬきっかけで文化財に興味を持っていただける入り口になる。そして現物を直接見たくなったら、ぜひ博物館にお越しいただきたい。

 

 

( 奈良国立博物館列品室アソシエイトフェロー 新林力哉)

[読売新聞(奈良県版・朝刊) 2026年2月18日掲載]

 

奈良国立博物館のホームページにある収蔵品データベース

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