2021.06.29 (火)
貴重な館蔵品 一堂に この夏は「奈良博三昧」
当館は特別展「聖徳太子と法隆寺」が閉幕したばかりだが、館内ではすでに夏の特別展「奈良博三昧」の準備がピークを迎えつつある。筆者もこの展覧会に関わっており、少し紹介をさせていただきたい。
この展覧会は、館蔵品の中からえりすぐった作品によって日本仏教美術の歴史をたどり、かつ、普段なかなかお見せする機会がない仏教美術作品以外を含む奈良博コレクションの全体像をご紹介する、というものだ。
すでに展覧会ポスターやチラシをご覧いただいた方も多いと思うが、当館のポスターとしては珍しいデザインで、驚いたという声を多数いただいている。今回、このデザインに挑戦した動機、目的はいくつかある。
そのうちの一つは、今まであまり当館に足を運んでいただくきっかけがなかった方々の目に入り、興味を持ってもらうこと。特に夏休み期間ということで、子どもさんや学生さんにも興味を持ってほしい。
そしてもう一つは、仏教美術や博物館に対する心の壁を低くし、親しみを持ってもらいたい、という願いである。どんなに素晴らしい文化財が展示されていても、まず会場に足を運んでもらわなければ、その魅力を伝えることは難しいのだ。
このポスターの強烈なイメージに負けぬよう、展覧会の会場も楽しく、親しみやすさを心がけたものにしたいと調整中だ。この夏、ぜひ会場に足をお運びいただき、何かひとつでも「面白い」「なるほど」という気持ちをお持ち帰りいただければと思う。
(奈良国立博物館学芸部列品室長 斎木涼子)
(読売新聞 2021年6月22日掲載)