2021.04.20 (火)
仏像の魅力 画面越しに 遠隔操作ロボで施設見学
3月中旬に、遠隔操作ロボットを活用して授業を実施した。遠隔操作ロボットで遠隔地にある複数の施設をつなぎ、生徒らがロボットを操作して、あたかも現地で見学しているかのような気分を味わえる―というものだ。
今回は大分県による協力のもと、大分市立判田中学校の2年生125人を対象に、なら仏像館を案内することとなった。同校2年生の生徒たちは本来、昨年度に修学旅行に行く予定だったが、コロナの影響により中止になってしまったそうだ。修学旅行の補完として、奈良を訪れた気分で文化財を間近に感じてもらおうということで、今回の企画が持ち上がった。
単に仏像を紹介するだけでは生徒もつまらないかと考え、複数の研究員が仏像のコスプレをして、仏像になりきって案内することにした。とはいえ、こうして遠隔で授業を行うのは、当館では初の試みである。授業を実施する前は、「モニター越しに仏像の魅力をうまく伝えられるのか」「楽しい授業と思ってもらえるのか」と様々な不安があった。
だが実際に授業を開始してみると、生徒たちから「わー!」と驚きの声が上がったり、笑い声が上がったりと、色々なリアクションがあった。案内が終了した後には、積極的に質問をしてくれた。少しは仏像や奈良博に興味を持ってくれるきっかけになったのではないかと思う。
いまだコロナ禍は続くが、こうしたリモート授業などを通じて、子どもたちに少しでも文化財に興味や関心を持ってもらいたい。そしてコロナの感染拡大が収束したら、ぜひ奈良博に足を運び、文化財の素晴らしさを間近に感じてもらいたいものだ。
(奈良国立博物館アソシエイトフェロー 翁みほり)
(読売新聞 2021年4月14日掲載)